啓発本の役割

自己啓発本は腐るほどある。人生論、リーダーシップ論、会話術、交渉術。本さえ読めば、知識は得られるのだ。しかし本当に知識の定着を行うには、経験を通さなければならない。注意するのは、経験を通した後で得られる知識は、本で得た知識とは異なることも多いにあるということである。
では、本で得る知識の意味とは。ただの誘発剤でしかと考えられる。本で得た知識は、現実で試してみたいのものである。試してみるのにエネルギーが必要である。エネルギーが必要であるから、これを試す人、試せない人がいる。試す人はどういう経験をするか。試してみると、結果が、仕入れた知識が想定した通りの結果であることもあるし、そうでない場合もある。結果如何にかかわらず、そこで得られる知識が最も重要で、本当に自分に定着した知識である。経験に裏付けられた説得力のある知識である。説得力のあるとは、根拠を言えることである。
自己啓発本は必要である。行動に移させてくれるエネルギーである。本を読むだけで終わる人は、本当に定着した知識を得たとはいえない。行動することで知識を検証してみる必要がある。自己啓発本により得られる仮の知識と行動による検証、という反復を行って初めて自己啓発本の存在は意味を持つものとなる。

実は、啓発本は読む必要はないかもしれない。誘発材がなくても、行動できる人は行動できる。しかし、そうでない人もいる。そうでない人には必要で、欠かせないものである。