バグの報告で迷う心

先日、大きめのバグを発見した。去年度の初期段階から存在していたバグであった。プログラムの核となる部分で、ここにバグが存在することは、去年度取得し顧客に提供したデータが正しくないということである。今年度は、そのデータに基づいて今後の方針を決めているわけで、場合によっては根本から考え直す必要がある。最悪、土下座の可能性もあるんじゃなかろうか。。
なんてことを、マイナス思考脳で一瞬で考えめぐらせたわけである。そうなると、できれば顧客にいいたくない、なんとかごまかせないだろうか、という考えが浮かんでくる。
プロジェクトメンバーに報告してみた。どう対処するべきでしょうか、と言ったわけではないのだが、そんなニュアンスのことを言ってみた。こういうとき、経験を積んだPLなら、きっとすぐに顧客に報告する対応をとるんじゃないだろうか、隠してしまいたいなどという不穏な考えを取り去ってくれるのではないか、という期待を込めていた。
結果、特にこう対応しなさい、という返答はない。どちらかというと、知らないふりに近いあるいは、ごまかしてしまえばいいのではないか、という雰囲気を感じる。もっとも、ダイレクトに聞いたわけではないので答えがないのは当然かもしれないのだが、何も言ってこないというのはどういうことだろうか。
もしかしたら、伝えない方が経験的に有利であるものなのだろうか。伝えたことで、訴訟なんてことになるかもしれない。それならば、伝えないで徐々にごまかしていく方が良いのか。或は、これははっきり顧客に伝えるべきことであるが、私にやらせるのが忍びなく指示しにくいということなのか。それとも、あんたが責任持って報告しなさいという暗黙の了解なのか。
結局迷ったあげく、自分で判断することになる。ごまかしごまかしで、精神的にびくびくした状態でいるのはつらい。早く楽になりたい。あとで今更言えなくなって、もっと悪い方向に向かう可能性もある。やっぱり、正直に言った方が楽になる。そういう方向に傾いてきた。
その時ちょうど、顧客から以前のデータを再送付してくれとのメールがくる。ありがたかった。返信する際に、バグの件を報告した。メンバーやPLがどう思っているのかわからないし、この後の顧客の反応も不安であるが、とりあえず自分はすっきりした。これで良かったのだと思えた。
なぜ、隠そうとするのだろう。やはり、直近の不安・リスクにとらわれてしまうのだろう。こういう時に冷静な判断がつかなくなることがある。そういう時は、自分のもやもやした気持ちや、選択肢に対するリスクやメリット等を書き出してみるのが良いだろうと思う。どう行動すべきか、自ずと決まるのではないかな。